とんでもない彼女は強盗【第1部】
とんでもない彼女は強盗【第2部】
とんでもない彼女は強盗【第3部】
とんでもない彼女は強盗【第4部】

963 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 05:23:48.78 ID:MVM9NCzC0
【第五部 吉村まさかの裏切り!華の暴走】
それから1週間は引っ切り無しに華からの着信があった。
メールも山ほどきた。
「もうしなぃから・・・」
「ごめんなさぃ・・・」
「許して・・・」
「別れないで・・・」
ほとんどがそんな内容だった。
俺は電話もメールも全て無視した。
疲れていた。怒っていた。
そして・・・。華が怖かった。
逃げたかったのだ・・・。
1週間するとパタリと華から電話もメールも来なくなった。
そうなればそうなったで心配ではあった。
なの小さい体で家にも帰らず1人夜の街を歩いている・・・。
そんな華を想像するとさすがに心配になった。 
978 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 05:32:21.88 ID:MVM9NCzC0
でも俺は華との連絡を絶った。
俺にあの子を更生させることは無理だと悟ったからだ。
そんなある日俺は会社内での変化を感じとった・・・。
皆が俺を避けてないか??
確実に周りの空気は変わっていた。
変によそよそしい感じ。
そして俺が仕事の話をすると明らかに無視する者まで出てきた。
おかしい・・・。なぜだ?
この頃から吉村ですら俺を避けるようになっていた。
飲みに誘うといつもなら
「3軒はハシゴかましましょう!!」とノリのいい吉村が
「今日は用事があって・・・」そう言って逃げるように
俺から離れる・・・。
毎回・・・毎回・・・。さすがの俺も吉村に避けられていることを悟った。



980 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 05:38:35.89 ID:MVM9NCzC0
もしかして・・・華との事がバレている??
29歳のリーマンが14歳の女子中学生と付き合っている
(正直この時は微妙な関係。別れているともいえない状況)
事が会社にバレた・・・??
俺は内心焦った・・・焦りまくった・・・。
そりゃそうだろう。俺が華と付き合う前に
1番ネックになったのが「世間体」
俺だって周りにそんな人間がいたら白い目で見るかもしれない・・・。
しかし・・・しかし・・・。
華との関係がバレる筈が無い。
俺は会社の人間に華との事は話していない・・・。
誰一人として・・・・。
いや・・・・。
吉村以外には・・・。



985 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 05:48:11.27 ID:MVM9NCzC0
疑念が確信に変わるのに大した時間は掛からなかった。
11時ごろ休憩室に入ろうとした瞬間だった。
通常この時間の休憩室には人がいない。
俺は自販機でコーヒーを買おうと休憩室の
ドアノブに手を掛けた。
すると・・・中から女子社員3~4人の声が聞こえる。
「マジで~?あの1さんが中学生と~!?」
「それってロリコンやん。キモーw」
「援交かな~??」
「なんか晩御飯食べさせてるみたいやで~w」
俺はドアノブを握りしめながら凍った!
やっぱり華との付き合いが全てバレている!!
そして決定的な一言が!!
「しかもその中学生って人の金盗むらしいでぇ~」
目の前が真っ暗になった。全てが終わった。
ロリコン・・・最悪それならまだいい。
人の性癖だ。ほっておいてくれ。それで済む。
しかし・・・。1社会人の彼女が犯罪者・・・。
これは世間が・・・会社が俺を許す筈がない。



7 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 06:07:59.72 ID:MVM9NCzC0
「しかもその中学生・・・・」
女子社員が続ける。
「吉村さんのお金も盗ったらしいよ~w」
確定・・・。
この件は吉村しか知るはずが無い。
吉村に裏切られたのか・・・。
あんなに信頼していたのに・・・。
何度も何度も飲みに行っては
2人で楽しんだ仲なのに・・・。
俺は正直いって華に裏切られた時よりも
ショックを受けていた。
吉村とは付き合いの長さが違う。
約6年の付き合いだ。
会社を離れれば先輩後輩の関係ではなく
「親友」そう思っていた・・・。



14 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 06:14:43.26 ID:MVM9NCzC0
それから会社内は地獄となった。
大人社会にイジメはある。
無視。陰口。冷たい視線。
それも耐え難いものだった。
吉村は平然と仕事をしている。
しかし俺から吉村に近づく事は無かった。
吉村も徹底的に俺を避けた。
俺と吉村の関係は華によって終焉を迎えた。
吉村に対しての怒りは確実にあった。
殴ってやりたいとも思った。
しかし・・・。そんなことをしたところで所詮
俺はただのロリータ・・・。
会社内での立場が悪くなるだけだ。
それに吉村じゃなくても同じことをする人間はいるだろう。
それが世間の見る「中学生と29歳の恋愛」だと思う。
俺は段々鬱になっていき会社に行くのが嫌になってきた。



18 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 06:22:24.94 ID:MVM9NCzC0
華が吉村の金を盗んで1ヶ月が過ぎていた。
俺と華の連絡は皆無になっていた。
もちろん華のことは毎日思い出す。
「また人様の金は盗んでいないか?」
「学校には行ってるかな?」
「飯はちゃんと食ってるかな?」
「まさか警察に捕まってやしないか?」
色々考える。しかし・・・この時の俺は
自分の会社での立場を考え心の余裕は皆無だった。
そんなある日・・・。
俺は会社にいると吐き気を覚えるようになり
早退して部屋のベットでゴロゴロしていた。
「もう会社辞めなあかんなぁ・・・」
そんな事を考えていた。その時!
メールの着信音がなった。
誰だろう??
表示された名前を見ると・・・。それは華からのメールだった。



23 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 06:26:21.04 ID:MVM9NCzC0
華・・・。どうしたんだ一体。
この時、華との関係は終わっていた。
俺の認識では華と別れていた。
その華からのメール・・・。
なんの用事だろうか??
メールを開く。俺の目に飛び込んで来た文字。
「今から死ぬ」



33 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 06:33:49.65 ID:MVM9NCzC0
え・・・??「死ぬ??」
驚いた。
なんで死ぬの?意味が理解できない。
しかしこのメールを送りつけてきたからには俺に
何かを求めてきているのだろう。
俺が散々華を無視し続けたことに対する「脅し」??
それとも華なりのSOS??
それともヘンヘルにありがちな構ってちゃん行為か??
なんにしてもこんなメールを送られて平気ではいられない。
本当に死なれたら・・・。困る・・・。
いや・・・困るというより。
華が死ぬなんて嫌だ!!
俺は華の携帯に電話を掛けた。
出ろ!早く出ろ!!
しかし華は電話に出ない。何度も何度も掛け直す。
まさか・・・まさか・・・。既に華は自殺したのか??
しかし10回程度掛け直した時、華が電話に出たのだ。



39 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 06:40:50.87 ID:MVM9NCzC0
「・・・ふぁぃ・・・」
久しぶりに聞いた華の声。
しかしそれは寝起きのような・・・酔っ払ったような・・・。
そんな声だった。
「華??華??」
俺は必死で呼びかける。
華はボーっとした声で
「ふぁぃ・・・1・・なん??1・・・??」
と答える。
華のこの反応。これはどんな状況を意味してるのか?
俺は聞く。声が大きくなる
「華いま何してんのや??答えろっ!!」
すると華がグスグスと泣き出した。
「ぅん・・・なんもして・・なぃ・・。ぅち・・・ぅち・・・」
うちなんだ???
「・・・ぅち・・1とぁぃたぃ・・・ねん」
「お前酔ってんか?自殺とかしてないか??それ答えてくれ」
「・・・ぅち。お酒飲んでなぃ・・・」
華はそう答えるものの、それならなぜここまで呂律がまわっていないのか?



48 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 06:47:40.02 ID:MVM9NCzC0
俺は優しく聞いてみた。
「華はいまどこにおるんや??」
すると華はシクシク泣きながら何かを考えている様子。
「ぅち・・はぁ・・ぃま家にぉるでぇ」
この状況ではラチがあかない。俺は華に言った。
「華。今から家出れるか?いつもの公園に来れるか?」
すると華は急に泣きやんで
「1・・・ぅちとぁってくれるのん??1とぁぇるのん??」
そう返してきた。
「うんうん。会う。だから今から出てこれるか??」
「ぅち・・・1とぁぇるんや・・。ぁぇるんや・・・」
どうにも要領を得ない。
「せや。華と会うからあの公園に来てほしいねん。これるか?」
すると華は
「ぅち公園ぃける・・・。1とぁぅ」
よし!俺は電話を切るとすぐさま家を飛び出した。



52 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 06:55:17.60 ID:MVM9NCzC0
例の公園までは華の家からの方が圧倒的に近い。
しかもあの公園は会社にも少し近い。
会社の人間には会わないだろうか??
そんなことを考えながら電車に揺られる。
もう日が暮れてきた。
駅に着くまでの時間がもどかしい。
駅の到着し華の待っている公園まで走っていく。
しかし・・・。華はいなかった。
華が家にいたとすれば十分についている時間。
俺はベンチに座って華を待った。
携帯を掛けてみるが一向に出ない。
待つしかない・・・。
公園に到着して30分ほど経った時入り口に小さな人影が見えた。
フラフラしている・・・。華だ!!
俺は走って華の元へ駆け寄った。



56 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 07:01:25.72 ID:MVM9NCzC0
「華!!」そういって駆け寄る俺。
華は痩せていた。1ヶ月前と比べ物にならないくらいに。
顔色も悪い。青白くすらある。
その時強烈な臭気が鼻を突いた。
華から発せらている刺激臭・・・。間違いない。
シンナーだ!!
華は俺に話掛ける
「1・・・ぅち1にぁぃにきたで・・・。1にぁぃたかったんやで」
涙目で俺を見る華・・・しかし・・・。
「華お前ラリってんのか?」
「ぅち・・ラリってないよぉ・・・」
「嘘つくな!シンナー臭いねん!!ラリってないわけなぃやろ!!」
すると華は地面に座りこんで泣き出した
「ぅちは・・・1にぁぃたかっただけやねんーーー!!」
そういって地面に寝転がってしまった。



62 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 07:07:08.78 ID:MVM9NCzC0
「華!!華!!」
呼びかけても反応がない。地面でグッタリしている。
抱きかかえて呼びかけてみる。
「華!!華!!」
それにしてもシンナー臭い。吐き気がする臭気だ。
揺さぶってみるが反応はない。
なんだろうこれは?
ラリって気を失っているのか?
寝ているのか?
これは深刻な状況なのか?
なにも分からない。
しかし息はしている・・・。
安心はするが危険な状態かもしれない。
まさか病院に連れていくこともできない。
シンナーがバレるに決まっているし
医者にバレた場合どういう華がどういう状態になるのかも想像できない。
とりあえあずベンチに寝かせることにた。



76 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 07:15:08.28 ID:MVM9NCzC0
30分ほどして華は目を開けた。
眠っていたのか?とりあえずホッとした。
「華・・・分かるか?俺やで1やで」
呼びかけてみる。すると・・・
「ぅん・・・わかるで」
反応が返ってきた。
「お前なんでラリっとんや?めちゃくちゃシンナー臭いぞ」
「ぅちなぁ・・・弟の部屋にぁったなぁ・・・シンナー吸ってもてん・・」
そう言うと華は俺の膝に頭を乗せてきた。
「ぅちなぁ・・・1とぁぃたかって・・・。寂しくて・・・。シンナー吸ってもてん」
胸を締め付けられる言葉だ。
「ぅちはなぁ・・・。頑張って人のぉかね盗るのん・・・やめたねん」
「もぅ人のぉ金とってなぃでぇ・・・」
俺は涙が出てきた。
あの最悪の母親。最悪の家庭環境。華は14歳の子供だ。
でも子供は子供なりに必死に現状を打破しようと頑張っていたのだ。
俺は華に言った。
「華・・・ごめんな・・・」
そういって華を頭をそっと撫でた。
「ぅち・・・がんばったやろ・・・?」
「うん。頑張った!」
俺は涙を流しながらそう答えた。



82 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 07:24:30.95 ID:MVM9NCzC0
華はだんだんと正常に戻ってきた。
まともに話せるようになってきた。
「飯はちゃんと食ってんか?」
「学校は行ってんのか?」
「母親の様子はどうや?」
俺は気になることを質問する。
華は華なりの言葉で一生懸命返してくる。
もう華はあの家に帰さないほうがいいかもしれない。
そんな思いが沸いてきた。
しかし・・・。どんな方法があるのだろうか?
施設・・・しかし華には一応ではあるが親もいて家もある。
そんな子供でも引き取ってくれるのか?
俺はその辺の情報に疎い。全く分からない。
それに審査があるだろう。そうすれば華の今までの生活や犯罪が
明るみにされるに違いない・・・。
そしてなにより・・・。華がそんな施設に自ら入るとは思えない。
ネットで調べよう。なんか解決方法があるはずだ。
役所にも聞いてみるか・・・。
そうこうしているうちに夜の8時ごろになった。
今日は一旦華を家に帰そう。
「華・・・。今日はもう遅いから家に帰りやぁ」
すると華は俺のシャツを掴んで
「ぃやや!ぃやや!!ぅち家にかぇりたない!!」
そう言って駄々をこねる。



88 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 07:31:21.70 ID:MVM9NCzC0
いくら説得しても華は聞く耳をもたない。
仕方がない・・・。この方法だけは今までためらっていたが。
「俺の家に来る・・・か?」
すると華は笑顔になって
「ぅち・・・1の家にぃってぇぇのん?」
「ああ。そのかわり明日はちゃんと家に戻るんやで?」
「ぅん。わかった」
そして電車に乗って華を自宅に連れていく。
途中コンビニで適当な食事が買った。
華に何か食べさせなければ・・・。
俺の部屋は1ルーム。8畳あるが狭い。
華は俺の家に入ると
「綺麗にしてるなぁー」と関心していた。
俺は割りと綺麗好きである。
そして
「1の匂いがするなぁ~この部屋」
そう言って笑っていた。



94 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 07:38:03.97 ID:MVM9NCzC0
俺は華にコンビニで買った弁当を食べさせた。
あまり食欲は無かったが、それでも旨そうに食べていた。
「華・・・一応お母さんに連絡しとき」
俺は一応社会人。29歳だ。それなりの常識もあるつもりだ。
しかし華は断固拒否
「心配なんかしてないからぇぇ。電話なんかしたらまたケンカになる・・・」
それもそうかもしれない。
あの母親だったら娘の心配もしないで
酒を飲んでいてもおかしくない。
それ以上無理強いはしなかった。
俺は華に自分のTシャツとパンツを貸して風呂に入らせた。
シンナー臭くてたまらい。
華が風呂に入っている時に考えた。
布団1組しかないし・・・俺はどこで寝ようかな??



102 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 07:46:50.12 ID:MVM9NCzC0
風呂上りの華は
「やっぱり1の服はぉぉきぃな~」と言って
ブカブカのTシャツに身を包んでいた。
やっぱり子供だな。
そう思うと無性に華が可愛かった。
俺も風呂に入った。
また金ぬすかれるかな?
そう考えないことも無かったが俺は華を信じることにした。
ってかここで金を盗まれたら、気づかないフリをして
その金をあげよう。どうせ大した金額でもない。
そう思っていた。
風呂上り華とTVを観てジュースを飲んだ。
華は久しぶりにリラックスした様子で
楽しそうに笑っていた。
そろそろ眠くなってきた。
「華は俺のベットで寝ていいから。俺座椅子倒して寝るわ」
華は俺のベットにもぐり込むと嬉しそうな顔で
「ぅちベットなんかで寝たことぁんまりないねん」
「1も一緒に寝よ」
そういって俺の腕を引っ張ってきた。



108 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 07:56:12.36 ID:MVM9NCzC0
「ええわ。シングルやから狭いし」
そういって俺は自分の寝床の準備を開始した。
華は嬉しそうに
「大丈夫やて!ぅちちいさぃから♪」
華は強引に俺をベットに引き寄せた。
口元まで掛け布団を被って俺の顔を見ている。
嬉しそうな華の表情・・・。
俺は華と寝ることにした。
華はそれからも色々と話しかけてきた。
「ぅちほんまにもぅ人のぉ金とってなぃで」
「またちゃんと学校ぃくからね」
「ぅちがぇぇ子になったら・・・1はまた好きになってくれる??」
俺はそんな華は愛しくてたまらなくなった。
吉村に裏切られ、会社に居場所が無い俺。
そんな俺を華は必要としてくれている・・・。
子供だが子供なりの愛情を全力で俺にぶつけてきている・・・。
華は俺のTシャツの胸元を掴みながら目を瞑った。
俺は前から考えていたことを華に言おうを決心した。
「華・・・ちょっと話があんねん」



170 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 08:50:35.05 ID:MVM9NCzC0
華は不思議そうな顔で俺の目を見る。
「なに??話って??」
俺は以前から思っていたことを意を決して華に伝える。
「華。俺と一緒に病院に行こう」
キョトンとする華。
「病院・・・??ぅち体は元気やで??」
「うん・・・」
俺は唾を飲み込んで言った。
「病院は病院でも・・・心の病院や」
華が目を大きく見開く
「心の・・・病院・・・??」
「せや・・・」
華が急に不安そうな表情になる
「それって・・・せぃしん・・・病院??」
「いや・・・。精神病院というか・・・病院の精神科や・・・」
なにが違うのだろう・・・。
それは分からないが「精神病院」という言葉は
華の不安を更に煽ると判断したのだ。
華は目に一杯の涙を溜めながた俺の目を見つめてこう聞いた。
「・・・ぅち・・・ぅち・・・。精神病なん??」



178 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 09:00:25.04 ID:MVM9NCzC0
「精神病やない・・・心の病気や。俺はそう思ってる。まだ分からへんけど・・」
華は自分の心が病と言われ怖かったのか
目から涙をポロポロこぼした。
そうだ華はまだ14歳なんだ。
そんなことを言われて怖くないはずがない。
「ぅち・・ぅち・・。精神病なんかとちゃぅ。病院なんかぃきたくない・・・」
そういって俺の胸にすがりついてくる。
俺は華の頭を撫でながら
「華・・・落ち着いて聞いてや」
「華も俺も風邪ひいたりするやろ?それは体の病気やな?」
華は「ぅぅぅ・・・」と泣きながら俺の胸から顔を上げない。
「でもな。人間は心が病気になることだってあるねん」
「それは恥ずかしいことでも、特殊なことでもない。よくある話やねん」
「そうやって心が病気になった時。体の病気と同じように病院にいくねん」
華はシクシクと泣き続ける。
俺は続ける
「それで元通り元気になるんよ。心も」
「だから華。俺と一緒に病院に行こ・・・」



181 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 09:09:40.02 ID:MVM9NCzC0
それから華は5分ほど俺の胸で泣いていた。
顔を上げた華は俺にこう聞いてきた。
「こわぃこと・・されへん??」
俺も精神科は行った事が無かったが大体はどんな所か知っている。
「怖いことなんかされへん。先生と話するだけやで」
そう言って華の頭を撫でる。
「ぅちが・・・病院ぃって病気なぉしたら・・・」
「1はまたぅちの彼氏に戻ってくれる・・・??」
まっすぐに俺の目を見る華。
「ああ。戻る」
俺はそう答えた。
「ぅち・・・病院・・・ぃく」
華も自分の窃盗癖に苦しんでいたに違いない。
ダメなことと気づいていたに違いない。
しかし14歳の華には・・・周りに信頼できる大人が
皆無の華には、それを辞める術が分からなかったに違いない。
「俺ちゃんとした病院探しとくからな」
華は「ぅんぅん・・・」と言いながら目を瞑った。
そして「キスしてほしぃねん・・・」
そう言った。



191 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 09:17:27.48 ID:MVM9NCzC0
俺は一晩中華の頭を撫で続けた。
いつのまにか華は眠っていた・・・。
その顔は14歳の子供の寝顔だった。
次の朝俺は会社に行くため華と電車に乗った。
昨日は病院行くことを納得した華だったが
口数は少ない・・・。やはり不安なのだろう。
華を自宅の最寄駅へ送って出社。
俺の会社での立場はもう無いに等しかった。
仕事は1人でできるものではない。
色々な人間に助けられ支えられできるものだ。
しかし・・・。俺の周りには助けてくれる人間も
支えてくれる人間もいなかった。
それならそれで割り切った。
今は会社の仕事より華を病院につれて行くことが大事だった。
会社のPCで「精神科」でググってみる。
近所に精神科の病院は山ほどあった。この中からどれにするか・・・?


201 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 09:29:03.96 ID:MVM9NCzC0
病院を極端に怖がっていた華を思うと
大病院の精神科はキツいかな??と思った。
精神科にもクリニックというものがあった。
精神病院には違いないのだろうが
写真を見る限りでは清潔感があり
アットホームで温かな感じがした。
医者も女性で小綺麗な人だ。
この方が華も精神的に楽に違いないと考えた。
会社の外から病院に予約を入れる。
2日後の午後に予約を取った。
会社があったが既にどうでも良かった。有給でもとろう。
俺はその日の夜華に電話をし、そのことを伝えた。
「華。保険証あるか?」
「わからへん・・・ぁるかもしれんけど・・・ぉかんがどっかにしまってるかも・・・」
もしかしたら華の家庭に保険証などないかもな・・・?
それなら仕方ない。満額払ってでも行くのみだ。
「なぁ・・1・・・」
「うん?」
「ぅち・・・病院ぃったら・・もぅ人のぉ金盗んだりせんようになるよね・・??」
「なる。そのために病院にいくんやで!」
「わかった・・・」
2日後俺は華と一緒に病院を訪れた。
第五部終了。フゥー
 
とんでもない彼女は強盗【第6部】







裏切り (小学館文庫)
K・アルヴテーゲン
小学館
2006-08-04