とんでもない彼女は強盗【第1部】
とんでもない彼女は強盗【第2部】
とんでもない彼女は強盗【第3部】


524 名前:1:2008/04/15(火) 16:59:54.67 ID:8ChvwtkW0
【第四部 二度目の窃盗・・・裏切り】
俺は会社に1年下の後輩がいた。吉村だ。
こいつが今回の主役である。
俺と吉村は非常に気が合い
仕事帰りも度々飲みに行ったりする仲だった。
(ちなみに華に最初に襲撃された時も吉村と飲んでいた)
吉村は非常に信頼できる人物である。
実は華と付き合っていることは
この吉村にしか言っていない。
やはり世間体もあり
人にはなかなか中学生と付き合っているとは言えなかった。
526 名前:1:2008/04/15(火) 17:00:29.57 ID:8ChvwtkW0
吉村も苦労人で俺は華の窃盗癖について相談したことがある。
「それは難しいですね。正直精神病の類かもしれませんから・・・」
遠慮気味に吉村はそう忠告してくれた。
ある日吉村が言ってきた。
「1さんの中学生の彼女に会わして下さいよ!」
うむぅ・・・。
特に断る必要は無い。
3人で食事をするのもまた楽しいかもしれない。
しかし問題は華だ。
あの年頃の女の子が大人と食事をする事は果たして楽しいのだろうか?
その夜電話で聞いてみた。
「ぃぃよ~♪1の後輩さんにぁぃたぃ~」
意外に反応が良かった。よし!3人で飯を食ってみるか!




527 名前:1:2008/04/15(火) 17:01:39.44 ID:8ChvwtkW0
その週の金曜日。
俺と吉村は会社帰りに華と合流し食事に向かった。
吉村は小声で「やっぱり子供ですね。でも可愛いですね」
とニヤニヤしながら言ってきた。
やっぱりそうだろうね・・・。
吉村は年下の女の子相手に上手く話せる男だった。
華が退屈しないように気遣いながら接してくれた。
華もそんな場を楽しんでいたように思う。
その店は個室のある洋風居酒屋だった。
俺達3人が個室に入り1時間程度飲み食いをした時。
俺の携帯が鳴る。
会社からだった。
「ちょっと会社から電話。外で話してくるわ」
吉村も
「僕もトイレに行ってきます」
2人で席を立つ。
個室には華が1人残った・・・。



597 名前:1:2008/04/15(火) 18:08:04.55 ID:8ChvwtkW0
電話を終え個室に戻ると華と吉村が談笑していた。
その後1時間程度で会はお開きとなった。
そして会計・・・。
レジへ向かう俺と吉村。
華は1人店の外へ・・・。
いつも吉村と飲む時は俺が少し多めに支払う。
先輩だから仕方が無い。
その日の会計は1万2000円程度だった。
華の分は当然俺持ち。
俺は吉村に言った。
「吉村今日は4000円でええよ~」
「有難うございます~」
そう言いながら財布を覗き込む吉村・・・。
急に顔色が変わる・・・。
何度も財布を覗き込む吉村。
鞄の中を見たりしている。
吉村が言った。
「すんません1さん。なんか今日金下ろすの忘れてたみたいで・・・」



609 名前:1:2008/04/15(火) 18:13:28.10 ID:8ChvwtkW0
「あっそうなん?んじゃ今日は俺が出しとくね」
そういって会計を済ませた。
「すんません・・・・」
吉村はそう言うと頭を下げた。
帰り道・・・。華はご機嫌だった。
「おいしかったなぁ~。また連れてぃってなぁ~♪」
「行こう行こう!また3人で行こう~」
酒が入っていてご機嫌だった俺。
吉村に華を紹介したことにも満足していた。
これで華と俺との関係を認めてくれた人間が1人できた。
しかし吉村の表情は暗かった・・・。
なにやら考え事をしている様子だった。



615 名前:1:2008/04/15(火) 18:18:50.15 ID:8ChvwtkW0
駅で吉村と別れる。
「んじゃ俺は華を送っていくから~。気付けて帰れよ!」
俺と華は吉村を見送ったあと
華の自宅がある路線に乗り込んだ。
車内でもご機嫌だった華。
今日が相当楽しかったのだろう。
華を自宅の最寄駅で降ろして俺も自分の帰る路線へ・・・。
電車で居眠りをしていた俺は携帯のバイブで目を覚ます。
うん??誰??
吉村からのメールだった。
内容は「まだ華ちゃんと一緒ですか?」



621 名前:1:2008/04/15(火) 18:24:06.76 ID:8ChvwtkW0
俺は吉村にメールを返した。
「もう別れたよ!今は自宅帰る電車やで」
するとすぐに吉村からメールが返ってきた。
「すみませんが自宅に帰ったら電話頂けますか?」
なんだろ・・・??
自宅に戻り早速吉村に電話した。
「どしたんや~?」
吉村は言いにくそうに口を開く
「実は・・・さっき会計の時にですね・・・俺金を忘れたって言ったじゃないですか・・・」
「うんうん」
「俺確実に・・・2万は財布に入っていたハズなんですよ・・・」
俺は血の気が引いた。酔いも一瞬でさめた。
まさか・・・?まさか・・・??



628 名前:1:2008/04/15(火) 18:29:02.93 ID:8ChvwtkW0
しかし・・・しかし・・・。
どのタイミングで??
あっ・・・・。
「俺の携帯が鳴って、お前がトイレにいった時・・・。吉村・・・財布どこに置いてた・・・」
俺の声は震えていたと思う。
吉村は言いにくそうに、しかしハッキリと口調で言った。
「上着のポケットです。上着は・・・・個室に置いてありました・・・」
目の前が真っ暗になる。
吉村は続けた。
「華ちゃんが1人残っていた・・・個室に置いていました」



638 名前:1:2008/04/15(火) 18:39:05.05 ID:8ChvwtkW0
普通に考えれば吉村を信用するだろう。
当たり前である。数ヶ月前に2度も俺から金を奪おうとした女だ。
しかし・・・しかし・・・。
俺は全てが信じられなくなった。
なんで・・・?なんで・・・?
「吉村・・・・」俺は声を絞りだした。
「明日まで・・・時間をくれ」



640 名前:1:2008/04/15(火) 18:40:21.77 ID:8ChvwtkW0
吉村は「はい・・・」と言って電話を切った。
またか・・・。また華を問い詰めるのか。
しかし今はあの時と状況が違う。
華に対しての見方も変わった。
華の俺に対する想いも十分伝わっている(子供なりの愛情表現だが)
そして今の俺は
華を愛している。
その華に・・・その華に・・・聞くのか・・・。
「吉村の財布から金を盗んだのか?」
激しい絶望感が俺の体を貫いた。
しかし・・・これは俺と華だけの問題じゃない。
第三者まで巻き込んでしまったのだ。
俺の大切な後輩まで・・・。
聞かなければならない。
1社会人として・・・。そして華の彼氏として・・・。
俺は震える手で携帯を握り・・・そして華に電話を掛けた。




910 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 04:19:42.60 ID:MVM9NCzC0
怖い・・・正直いま華には電話に出て欲しくない。
しかし不思議なものでこんな時に限って
すぐに出るものなのだ。
「ぁーぃ。華ちゃんやで~♪」
前回俺はUSJでの時もそうだったが
華は金を盗んだ時ほどテンションが高い。
カムフラージューのつもりなのか?
それとも金を奪い盗った喜びからなのか?
後者だとしたら・・・本物の窃盗犯罪者だ。
俺はなかなか言葉が出てこない。
それはそうだろう。
どこの世界に「後輩の金盗ったでしょ?」と自分の彼女に聞く彼氏がいるのか??
「華・・・少し話があるねん・・・」
カラカラの喉・・・言葉がかすれる。
しかしコレだけは曖昧にできない。
「ん??どしたん??」
華は俺の声を聞いてただならぬ雰囲気を察したようだった。



912 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 04:24:36.76 ID:MVM9NCzC0
「今日吉村と食べにいった時な・・・」
ヤバイ声が震えている。
「ぅんぅん」
「華は先に店出たけど・・・俺と吉村は会計してたやんか?」
「・・・ぅん」
華の反応が微妙に変わった・・・。
聞きたくない。怖い。でも・・・。
「吉村の財布から2万無くなってたそうや・・・」
言ってしまった!
「・・・・・」
「間違ってたら謝る・・・・」
「犯人は・・・華か?」
頼む違うと言ってくれ!むしろ「なんでそんな事ぃぅのんっ!!」と怒ってくれ!!



917 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 04:34:35.84 ID:MVM9NCzC0
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
お互いの沈黙が続く。それだけで華の答えとしては十分なものだった・・・。
沈黙が1分を過ぎたころ華から口を開いた。
「・・・ちゃぅ。ぅちとちゃぅ・・・。盗ってなぃ」
消え入りそうな声だ。
華はとうとう嘘までつくような女になったのか??
俺は言った。
「華のその言葉信じてええんやな?吉村の財布からお金盗ってないんやな?」
華は無言。
「よし!俺は華を信じるわ。自分の彼女やから・・・でもな」
「俺は明日吉村を殴る!大切な後輩やけど・・・華を疑った吉村を殴る!」
「ええよな?華??」
良心があるならば正直に答えてくれ。そういう願いを込めた言葉だった。
すると華のすすり泣く声が聞こえてきた。
「・・・ごめん。ぅちが盗った・・・。ごめん・・・」
終わったな。全てが・・・。
どこにも希望がない言葉を突きつけられた。



924 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 04:44:40.23 ID:MVM9NCzC0
「俺は・・・華は俺と付き合ってから・・・盗みはやめたと思ってた」
シクシク泣く華の声が聞こえる。
しかし俺は華を許すことができなかった。
「華も言うたよな?俺と付き合ったら盗みやめるって・・・」
「俺と付き合ってからも・・・人の金盗んでたんか??」
華はすすり泣く声で絶望的な言葉を浴びせる。
「・・・ぅん」
俺は続けて聞き出してみる
「何回くらい?何回くらい盗んだ??」
「じゅ・・10かぃ・・くらぃ・・・」



925 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 04:45:03.51 ID:MVM9NCzC0
10回・・・。そんなに・・・。よく今まで捕まらなかったものだ。
華は俺と付き合ってもなにも変わっていなかった。
表面上は普通の女の子に戻っていたが・・・中身はなにも変化していなかった。
「初めて俺と会った時みたいに・・・人を襲って・・・強盗みたいなことは
してないよな??」
少しでも・・・少しでも希望が欲しい。そういう願いから生まれてきた
言葉だった。
しかし・・・華は答えない。待っても待っても答えない。
まさか・・・。俺はついに華に対して初めて怒鳴った!
「答えろや!!華っ!!」
涙声で華は答えた。
「・・・それも・・・やった・・・」



928 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 04:54:38.81 ID:MVM9NCzC0
やっぱり強盗までやってたか・・・。
俺は呆れた。もうなにもかも終わりだ。
「分かった。吉村には俺から2万返しとく」
泣き続ける華。
俺は間髪入れずに続けた。
「もう華とはおしまいや」



929 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 04:55:21.38 ID:MVM9NCzC0
華は「ぃややーーー!!そんなんぃややーーー!!」と言いながら
激しく泣き出した。
「1ぃややーー!!そんなんぃわんとってぇぇ!!」
「ぅちもぅ人のぉ金盗れへんからーー!!」
「学校もちゃんとぃくからーー!!」
「ぃややねん。1と別れるのぃややねん!!」
「ぅちちゃんと謝るからーーー!!」
「許して!ぉねがぃやから許してーーー!!」
「ぅち・・ぅち・・頑張ってぇぇ子になるからぁーー・・・」
胸が痛んだ。悪いのは華だけではないと知っている。
家庭も悪い。あの母親も悪い。でもでも・・・。
「悪いけど・・・もう無理!!」
俺はそう言って電話を切った・・・。
切る間際の華の「ぃややぁーー!!」という泣き声は耳から離れなかった・・・。



941 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 05:03:05.41 ID:MVM9NCzC0
電話を切ったあと俺はベットでめを瞑った。
もう何も考えたくない。
華に裏切られた・・・。
その思いが頭の中をグルグルと駆け巡る。
華からはその間、何度も着信があった。
マナーモードに切り替えて無視した。
メールも何通も来た。
「ごめんなさぃ・・」
「もぅせんから・・」
「ぅちと別れるなんてぃぅんやめて・・」
メールを見て同情はした。しかし・・・やっぱり俺には
無理だと思った。若干14歳で強盗傷害を起こす女・・・。
俺には無理だ。彼女の人生を背負うことなんてできない。
俺はビールを一気飲みして眠った。



950 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 05:14:35.47 ID:MVM9NCzC0
次の日俺は吉村を休憩室に呼び出した。
昼休みまでこの場所には人がくることは無い。
俺は吉村に深々と頭を下げた。
「申し訳ない。やっぱり犯人は華やった。この通りや。ごめん」
吉村はそんな俺を見て
「頭上げて下さい。1さんが悪いわけやないし・・・」
「いや。俺の責任や。アイツを信用してお前に会わせた俺の責任や・・・」
そして俺は財布から2万取り出し吉村に渡す。
「受け取ってくれ。ほんまにすまんかった・・・」
吉村はためらいながらも
「そんじゃ・・・受け取っておきます」



952 名前:1 ◆hxOL7r2r.Y :2008/04/16(水) 05:15:36.50 ID:MVM9NCzC0
休憩室に重い空気が流れる・・・。
吉村はわざと明るい声を出した
「さぁ。1さん仕事に戻ってがんばりましょう!!」
俺は「うん・・・」と言って2人で休憩室を出た。
その時吉村が俺に言った。
「1さん。やっぱりあの子の窃盗癖は病気の類やと思います。
このままやと1さんの人生が狂います。・・・・別れたほうがいいと思います」
吉村の言葉が胸に響いた・・・。
これで一応第四部も終わりです。

とんでもない彼女は強盗【第5部】