とんでもない彼女は強盗【第1部】
とんでもない彼女は強盗【第2部】


322 名前:1:2008/04/15(火) 14:46:18.90 ID:8ChvwtkW0
第三部いざ華邸へ!アル中母との対面】
14歳と付き合うことになった29歳。
1番考えたのは「果たしてどんな付き合い方」をするかだ。
こっちは一応社会人だ。
会話は噛み合うのか?デートはどこへ行くのか?
これに関しては思っていた程問題は起きなかった。
まず電話。これはほぼ毎日俺から掛ける。
華から掛けてくることもあったが
その時は俺が掛けなおした。
中学生で金が無いのは当然のこと
その金欠でまた窃盗を起こされるのを恐れた。
華との付き合いは終始窃盗との戦いである。
事実この後とんでもない窃盗を起こすが
それは後の話・・・。
330 名前:1:2008/04/15(火) 14:55:28.27 ID:8ChvwtkW0
電話の内容は華の家庭の愚痴が多かった。
その時は黙って気が済むまで話を聞く。
そして華はこの頃から学校へ行き始めた。
とはいっても2日か3日に1度だが喜ばしいことであった。
華にとって学校は決して楽しい場所では無かったようだ。
しかし僅かにながらできた友達の話を嬉しそうにする事もあった。
そして2日に一度は会っていた。
デートと呼べるほどのものでは無い。
仕事帰り例の公園でダラダラと話すだけだ。
途中コンビニで飲み物やお菓子を買って話をするだけ。
華はこの時間が1番好きだと言っていた。
帰りは必ず定食屋に行った。
恐らくであるが華はマトモな食事をしていない。
アル中母の話を聞くと
食事なんかどう考えても作っていない様子だった。



337 名前:1:2008/04/15(火) 15:02:15.15 ID:8ChvwtkW0
華はラーメンやファーストフードを好んだが
出来る限り定食屋について行った。
よく分からないが中学生は成長期なはず
栄養バランスの取れた食事をさせてあげたかったのだ。
華は食べ盛りなのか比較的食べたほうだった。
それでも「1これぉぃしぃで。ちょっと食べてみて」と言って
俺の皿に自分のオカズを乗せてきた。
そんなことがしたかったんだろう。きっと・・・。



344 名前:1:2008/04/15(火) 15:09:38.65 ID:8ChvwtkW0
家庭環境のせいか恐らく一般的な中学生より
大人だったと思われる華。しかし大人がついていけないような
ツマらない話をする時もある。
「○○先生がめっちゃぅざぃわぁ~。この前もめっちゃムカつぃてんで・・・・」
この手の話は社会人には辛い。
教師も聖職者ではなく1人の人間と知ってしまったからだ。
しかし華はまだ子供。
教師に対して完璧を求めているのだろう。
初めて華とキスをした時は子供っぽくて思わず笑えたのを
覚えている。



353 名前:1:2008/04/15(火) 15:15:18.03 ID:8ChvwtkW0
いつもの公園でベンチに座って話していた時。
俺は時計を見た。もう9時だ。
「そろそろ帰ろうかぁ。遅い時間になったし」
華は大抵
「まだぇぇやん。どうせぉかんなんもぃわんしぃ」
と言う。帰っても寂しいのだろう。
すると華が突然聞いてきた。
「1はキスしたこと・・・ぁるやんなぁ??29歳やし・・」
「うん。あるよ」
華は下を向きながらモジモジし出す。
「そりゃ・・そぅやんなぁ・・・29歳やもんなぁ・・・」
こいつ・・・可愛い。
恐らくキスがしたいのであろう。
だからそんなフリをしているのだ。



362 名前:1:2008/04/15(火) 15:24:22.45 ID:8ChvwtkW0
俺は意地悪をする。決してその話に乗らない。
すると実に子供っぽい仕掛けをしてくる。
「ぅちなぁ・・。1にプレゼントがぁんねんなぁ・・・欲しぃ??」
俺の目を真っ直ぐに見る華。
華は目がすごく綺麗な女の子だった。
「欲しい欲しい」
俺がそう答えると華はニコッっと笑って。
「ほんなら目ぇつぶってみて」と言ってくる。
可愛いヤツだ。
案の定唇に柔らかい感触がする。
これが華との初めてのキスだった。
目を開けた俺に華は
「びっくりたやろ~??」と聞いてくる。
別にびっくりしながったがそこは話を合わせてあげる。
「めっちゃびっくりしたわ!!」
すると華は嬉しそうに笑う。
まだ14歳の子供なのだ。
そして下を向きながら「ぅちなぁ・・。いまのんが初めてのキスやねんで・・・」
と言った。
顔が赤くなっていた。多分・・・この時俺は初めて
女として華が好きと自覚したと思う。



376 名前:1:2008/04/15(火) 15:32:16.98 ID:8ChvwtkW0
多分順調に付き合っていたと思う。
華が目指す中学生の恋愛がどのものかは分からなかったけど。
そして・・・とうとうあの事件が起きる。
いつもの公園で華を話していた時だった。
突然華がこんなことを言い出した。
「ぁんなぁ・・・今度ぅちに遊びにこぉへん??」
俺は正直びっくりした。
アル中の母親。ラリった弟。
俺ならそんな家族を恋人に見せたくない。
そして・・・俺は会いたくなかった。



384 名前:1:2008/04/15(火) 15:41:02.89 ID:8ChvwtkW0
華は恥ずかしそうに言った。
「ぁんなぁ・・・ぉかんに紹介したぃねん。1のこと」
紹介!!!!!!!
俺は正直引いた。
もちろん華のことは好きやだど・・・。
親に紹介される段階では間違いなく無い!
でも14歳の華にしたら大人の俺に目線を合わせようとしたのか?
親を紹介するのが大人の付き合い。そう考えていたのか?



396 名前:1:2008/04/15(火) 15:46:48.42 ID:8ChvwtkW0
それにしてもあんなに嫌っていたアル中の母親を紹介したいなんて・・・。
それにその家にはシンナーボケした弟もいるんですよね・・??
「う~ん・・・。紹介かぁ」
それしか出てこなかった。
華は
「ぅん。1にきてほしぃねん・・・。あかん??」
俺の目を見てすがる目をする華。
華のこの目には弱い・・・。
「弟は全然家かぇってきてないから。ぉねがぃやねん」
そこまで言われたら仕方ない。
「分かった。次の休み華の家いこか!」
華はニコっと笑う。子供の可愛さがある笑顔だ。



410 名前:1:2008/04/15(火) 15:54:21.50 ID:8ChvwtkW0
次の土曜に華と駅で待ち合わせをした。
いつもより元気な華。
アル中の母親を見せるのがそんなに嬉しいのか?
華の家は木造の平屋だった。
金銭的余裕の無い家庭だと思ってはいたので
そんなに驚くことは無かった。
レトロ感たっぷりのその平屋は路地裏にあり
どこか寂しい感じがした。



416 名前:1:2008/04/15(火) 15:58:40.40 ID:8ChvwtkW0
「ここやねん」華はそういって玄関を開けた。
「ただいま~」なんて挨拶はしない。
俺に「遠慮せんとぁがって」と言うのみだ。
想像通り家の中は荒れていた。
玄関の靴箱に置かれた植物は見事に枯れ
廊下には新聞が詰まれてあった。
そして家の中は少しカビ臭い。
玄関から真っ直ぐに伸びる短い廊下。
その奥が居間のようだ。華が入ってゆく。
俺も後に続く。
そこには汚い女が座ってTVを観ていた。
昼なのにパジャマ。伸びきったパーマのボサボサの髪。
死んだ魚のような目。ガリガリの体。
半開きの口から見える歯は黄色く、数本欠けているように思える。
土色の顔が不気味だった。



420 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/15(火) 16:01:49.50 ID:KqCs8gceO
母親と華はお金がないのにどうやって生活しているんだ?



424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/15(火) 16:04:08.30 ID:CjkVpHPc0
生活保護じゃね?



425 名前:1:2008/04/15(火) 16:07:00.79 ID:8ChvwtkW0
>>424
答えをいうとそうです。
あとは親父の生命保険。
あとは親戚からの借金で食いつないでいたそうです



427 名前:1:2008/04/15(火) 16:07:45.89 ID:8ChvwtkW0
華はひいき目なく美人の部類に入ると思う。
今は子供なので可愛いと表現したほうが的確かもしれないが
大人になればかなり人目を引く顔立ちだろうと思わせる。
その母親が・・・この女・・・遺伝子を疑った。
次の瞬間華は信じられない言葉を発した。
「おい!コラババァー。お客さん来とるやろがいやぁ~!!挨拶せんかいっ!」
「・・・・・・・・・!!!!!!!!!」
華・・・おま・・・。



439 名前:1:2008/04/15(火) 16:12:31.70 ID:8ChvwtkW0
母親がゆっくりこっちを向く・・・。顔が怖い。
すかさずこっちから挨拶をした。
「華さんの友人の1です。はじめまして。」
母親が口を開いた。
そして信じられない一言を発した。
「お前・・・誰や・・・??」
「・・・・・・(いま自己紹介したやん)」
「えと・・・1と申します。突然お邪魔してすみま・・・」
俺が改めて挨拶しなおそうとした瞬間!
「クソババァ~奥で寝とかんかいっ!」
華の怒声がぶった切った。



449 名前:1:2008/04/15(火) 16:19:07.15 ID:8ChvwtkW0
ダメだ。この家庭は終わっている。
華の家に来て5分で全てが解った。
母親が奥の部屋へ引っ込む。
華は「座って」と言って俺に麦茶を入れてくれた。
俺は早く帰りたかった・・・。ここは地獄だ。
いくらなんでも居心地が悪すぎる。
華は今日「母親に紹介したい」と言って俺をここへ連れてきた。
しかし母親を見るなり怒鳴りちらし奥へと引っ込ませた。
今日来た意味は一体なんなんだろう??
TVを眺めながらボーっとそんなことを考えていた。



460 名前:1:2008/04/15(火) 16:26:00.77 ID:8ChvwtkW0
すると・・・突然奥の部屋から声がした。母親だ!
「華~酒持ってきて。酒・・・」
さ・・・酒。アル中ってのは本当なのか!?
華はそんな声を無視してTVを観ている。
すると1トーン上がった母親の声がまた聞こえる。
「華~。酒持って来い言うてるやろ~!」
襖の奥から聞こえる中年アル中女性の声。
かなり怖い・・・。
それでも華はひたすら無視してTVを観ている。
気まずさに耐えれなくなった俺は華に言ってみる。



466 名前:1:2008/04/15(火) 16:29:19.07 ID:8ChvwtkW0
「お母さんが呼んでるで・・・」
華は気にする様子もなく
「ほっとぃたらぇぇねん」と言ってTVを観ている。
俺はドキドキしながらただ座っている。
この緊張感には堪えられない!
その瞬間!!
バーーーン!!!!!!!いきなり襖が勢い良く開いた!!!
そして母親が狂ったように喚いた。
「酒持って来いいうとるやろが~~!!こんガキャ~~!!」
俺はあまりに突然のことに腰が抜けそうになった。



474 名前:1:2008/04/15(火) 16:32:26.05 ID:8ChvwtkW0
すると華が
「うるさいんじゃ~!!このアル中ババァー!!お客さんきてるやろ~~~」
怒鳴り返す。
もう状況が読めない。
それに狂った母親も応戦する。
「子供のくせに親に口ごたえすんな~~!!はよ酒持ってこんかい!!」
母親はそばにあったビールの空き缶を華に投げつけた!
こんな・・・こんな無茶苦茶な家庭が本当にあるんだ!!



484 名前:1:2008/04/15(火) 16:38:23.68 ID:8ChvwtkW0
「好きなだけ飲ましたらぁーー!!アル中で早死にせいや!!クソババァ!!」
そういったかと思うと華は冷蔵庫に移動して、手一杯に缶ビールを抱えてきた。
そしてその缶をなんと母親に力一杯投げつけた!!
これはマズイ!!
他人の家のことだがさすがに止めに入る。
「ちょ・・・華やめろ。落ち着け」
と言いながら母親の盾なる。
興奮状態の華はそれでも尚缶を投げつけてくる。
痛い・・・手に負えない。



490 名前:1:2008/04/15(火) 16:43:00.83 ID:8ChvwtkW0
華は泣きながら「死ね!死ね!死ね!アル中クソババァー!!」と喚く。
華は手に持ったビール缶全てを投げつけると
泣きながら俺の腕を掴んで
「1行こぅ!!もぅぃややこんな家」と言いながら
グイグイ俺を引っ張って行く。
何とか修羅場から生還した俺。
もう一度華の家を見直してみる。
これは俺が想像していた以上の家庭だ・・・。
改めてそう思った。



503 名前:1:2008/04/15(火) 16:49:16.64 ID:8ChvwtkW0
華はなぜ俺をここへ呼んだのか?
それは今でも解らない。
しかし・・・。考えられることは
自分の生い立ちや現状を、俺に包み隠さず見せたかったのか?
それが華の俺に対する愛情表現だったのか?
あるいは・・・。
今日俺が訪ねることを、華は事前に母親に話していたのではないか?
「娘の彼氏がやってくる」その事により、母親に母親としての
振る舞いを華は期待したのではないだろうか?
しかしそれは見事に裏切られた・・・。



511 名前:1:2008/04/15(火) 16:54:54.89 ID:8ChvwtkW0
俺は隣にいる華のそっと顔を観た。
泣き腫らした目。
そして悔しそうに唇を噛む。
「こんな家・・・こんな家・・・ぃやや・・・」
そう呟く華。
俺はこの時「華を守ってやりたい!」
その思いがこみ上げてきた。

とんでもない彼女は強盗【第4部】