1:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 21:18:40.72 ID:veZIivoe0
もう三年前の話なんだがな 




6:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 21:22:14.85 ID:veZIivoe0
家出した理由はそれなりに家庭の事情だった 
両親不仲で毎日喧嘩してて嫌になって家飛び出した 
十五歳だった 

親の財布から抜いた一万円で全く知らない街に行った 
自分の財布ぐらいしか持ってなかった 
携帯は電話鳴ると鬱陶しいからおいてきた 


夜の十時過ぎに電車降りた 
それなりに都会だった 
とりあえずどうしようと駅前の広場にあるベンチに座って考えてた 



10:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 21:24:34.85 ID:veZIivoe0
家出した高揚感が次第に収まっていった 
だんだん都会が恐く思えてくる 
まあガキだったし 

歳上の男や女が凄く恐く思えた 
だいそれたことをしてしまったんだと思って悲しくなった 
半泣きだった 

俯いてると声をかけられた 

「なにしとん?」 

顔をあげるとにやにやと笑う三人がいた 
歳上の男と男と女だった 

凄く不快な笑みだった 

玩具を見つけた、みたいな 

15:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 21:27:38.40 ID:veZIivoe0
逃げ出したくて仕方ないのに体が動かない 
蛇に睨まれたカエルみたいな? 

「なあなにしとん?」 

目をまた伏せて震えた 
今から殺されるんだぐらいの勢いで恐かった 

「大丈夫やって、なんも恐いことせんから」 

悪役の台詞だと思った 
けど今にして考えれば悪役じゃなくてもいいそうな台詞だ 

とにかく当時の俺には恐怖に拍車がかかった 

また震えた 

ごめんなさい、と呟いた 

「つまんね」 

開放されると思った 

「お金ある?」 



20:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 21:30:42.67 ID:veZIivoe0
すぐにこれがカツアゲだとわかった 
産まれて初めての経験だ 
恐い恐い恐いって 

あの時の俺はとにかく臆病だった 

財布には親から抜いた一万円(電車代でちょっと減ってる)と 
自分のお小遣い数千円があった 

けどこれを失くしたらもうどうしようもなくなる 

金がなくても警察に行けば帰れるとか、当時の俺は思いつかなかった 
だからそのままホームレスになって死ぬんだと思った 

ないです、と答えた 

「嘘はあかんて。な? 財布だせや」 

駅前の広場は他にもたくさん人がいたけど 
誰も助けてくれる人はいなかった 

ドラマじゃよく聞く光景だ 
誰も助けてくれない 

でもそれは本当なんだな、と思った 

「なあ?」 

男が俺の頭を鷲掴みにする 



24:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 21:33:58.03 ID:veZIivoe0
言っておくがこの三人はただの不良だ 
けどまあ、この三人のお陰で俺はお姉さんに拾ってもらえた 

「なにしとん?」 

それが初めて聞いたお姉さんの声だった 
といっても 

俺は向こうの仲間が増えたと思ってまたびくついた 
けど三人の対応は違った 

「なんやねんお前」 

「いやいや、自分らなにしとん? そんなガキ相手にして楽しいん?」 

「黙っとれや。痛い目見たなかったらどっかいかんかい」 

「流石にガキ相手に遊んどるのは見過ごせんわ。ださ」 

「あ?」 

まあ、会話はおおよそだから。 
でもこんな感じだったと思う。 



29:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 21:37:34.46 ID:veZIivoe0
恐くてってどんだけ言うんだって話だけどやっぱり恐くて上が向けず 
お姉さんがどんな人かもわからなかった 

「調子のっとるな、しばいたろ」 

三人組の女の声だ 
他の二人も賛同したのか視線はそっちに向いた気がした 
少なくとも俺の頭を掴んだ手ははなされた 

「ちょっとそこの裏路地こいや」 

とか、そんな風なことを言おうとしてたんだと思う 
けど、それは途中で終わった 

「うそやん」 

妙に驚いてた気がする 
声色だけでそう思ったんだけど 

「シャレにならんわ。ほな」 

関西弁の人ってほんとにほなって言うんだ 
とか調子の外れたことを思った 

それから暫くして 
俺の肩に手が置かれた 

びくっと震える 

たっぷりの沈黙の後 

「なにしとん?」 

33:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 21:41:20.52 ID:veZIivoe0
さっきまでの三人組みたいな声じゃなくて 
ちょっと優しい雰囲気があった 
おそるおそる顔をあげると 
綺麗なお姉さんがそこにいた 

髪は長くて 
真っ赤だった 

化粧もしてて 
大人のお姉さんだと思ったけど 
今にして考えてみればあれは多分、V系だったんだろう 

なんにせよ綺麗だった 

同級生の女子なんてちっさく見えるぐらい綺麗だった 

「ありがとうございます」 

と、つっかえながらもなんとか言えた 

「んなもんええけど、自分アホやろ? ガキがこんな時間うろついとったらアホに絡まれんで」 

家出したと言ったら怒られると思って下を向いた 
お姉さんは大きな溜息を吐いた 

「めんど、訳ありかいや」 

やけに言葉が汚いお姉さんだと思った 



34:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 21:43:26.51 ID:veZIivoe0
お姉さんスペック 

身長170越(自称) 
外だと厚底履いてるから175は越えてる 

スレンダー 
Dカップ 
赤髪ロング 
耳にピアスごじゃらら 
関西人っぽい 
年齢不明(見た目18~21) 

綺麗だと思う 



39:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 21:47:54.73 ID:veZIivoe0
暫く沈黙が続いた 
というかお姉さんタバコ吸ってるみたいだった 
タバコの匂いがやたら甘かった 

「ああ……腹減った」 

お姉さんが言う 
言われてみれば俺も腹が減っていた 

家出してかれこれ五時間 
電車の中でポッキー食べたくらいだった 

「ファミレス行こか」 

「?」 

「ファミレス。ほら、行くで」 


近くのファミレスに行く 
着いて適当に注文する 

お姉さんは凄く目立つ 
赤髪、ロング、黒服、ピアス 

綺麗だし、目立つ 

「自分なんも喋らんな。病気なん?」 

「ちが、ちがいます」 

「ああ、あれ? 恐い? そやな、よく言われるんよ、恐いって」 

「い、いや」 

なんて言おうとして否定したのかは知らんが、まあだれでもそう反応するだろ? 



48:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 21:51:00.15 ID:veZIivoe0
俺はハンバーグ 
お姉さんは野菜盛り合わせ 

「んで、なんで家出したん?」 

驚きすぎてむせた 
なんでわかるんだこの人は、超能力者か 
とか考えたかは知らんが驚いた 

でも今にして考えれば解ることかもしれん 

夜の十時すぎに家に帰らない子供 
思いつくのは塾帰りで家に帰りたくないか 
夜遊びするガキか 
家出か 

なのにその時の俺は塾に行くような鞄持ってなかったし 
遊んでそうなガキに見えなかったろうから 
家出 

カマかけてきたんだろう 

でも当時の俺はただただ 
大人のお姉さんすげーって思うだけだった 



51:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 21:55:13.04 ID:veZIivoe0
「家が……色々」 

「ふうん、そっか」 

「まあその歳やといろいろあるわな」 

「で、どないするん? いつかえるん?」 

「……帰りたくないです」 

「そりゃ無理やろ。仕事もないし、ってか仕事できる歳なん?」 

「15です」 

「ギリやな。家もないし金もないやろ?」 

「……」 

それでも帰りたくなかった 
俺にとってあの当時の家はかなり地獄だった 
まあ、もっと酷い家庭はあると今ならわかるけど 

「一週間もしたら帰りや」 

「……はい」 

「ほんじゃ、飯食ったら行こか」 

「?」 

「うち、ヒト部屋空いとるから」 

こんな経緯で俺はお姉さんに拾われた 



57:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 22:00:16.89 ID:veZIivoe0
お姉さんの家は都会の駅から四つ 
閑散とした住宅街だった 

見た目とは裏腹な場所に住んでるなと思ったけど 
住んでるのは高層マンションの最上階だった 

お金持ちなんだと思った 

「片付けてないけどまあ歩けるから」 

「おじゃまします」 

玄関入ると左手に一部屋 
右手にトイレ、浴室 
奥にリビング 
リビングの隣に一部屋 

「ここ、物置みたいなもんやから使って」 

俺は玄関入って左手の部屋に案内された 
ほんとに物置だった 

「衝動買いしてまうんよね、はは」 

お姉さんが照れくさそうに笑う 
知れば知るほど見た目とのギャップに困惑した 

でもそのギャップに惹かれた 



67:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 22:05:25.52 ID:veZIivoe0
「とりあえず風呂でも入ってきたら?」 

「はい」 

初めて女の人の部屋に泊まるわけだけど 
だからどうだって緊張感はなかった 
ガキだったから 

そりゃエロ本も読んだことあったけど 
そんな展開になるわけないって思ってたし 

シャワーを浴びて体を拭く 

「洗濯機の上にパジャマと下着出しとるから」 

見るとそれは両方とも男物だった 
なんで男物があるんだろうと考える 

以前同棲してたから? 
ありうる 
だから一部屋余ってるんだと思った 

こんな綺麗なお姉さんだ、彼氏がいない方がおかしい 


下着とパジャマを着てリビングに行く 

「サイズちょうどええみたいやな、よかったよかった」 

「やっぱうちとおんなじくらいやねんな」 

「……?」 

「それ両方うちのやねん。男もんの方が楽でな」 

途端に俺は恥ずかしくなった 
いつもお姉さんが着ているものを着てるのだ 


下着も 



74:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 22:08:09.99 ID:veZIivoe0
不覚にもおっきした 
いや不覚も糞もないか 
ガキだし 

でもそれはバレないようになんとか頑張った 
中腰で 


「ん? んん? なーんや、お姉さんの色気にあてられてもたん?」 

「ははっ、若いなあ」 

速攻でバレた 
恥ずかしさが一気にヒートする 

「ええよ気にせんで、なんし男の子やねんから。ほら、そこ座り。コーヒー……は飲めんか」 

「飲めます」 

「おお、君飲む口か」 

嘘だ、コーヒーなんて飲めない 
苦い 

でも子供扱いされたくなかった 



77:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 22:09:25.43 ID:BLlXNGmZ0
お姉さん男物のパンツ履いてるのか…? 



90:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 22:16:27.32 ID:veZIivoe0
>>77 
ボクサーパンツな 
最近では女物のボクサーパンツとかあるらしいぞ 


お姉さんに一番気になっていたことを聞く 

「どうして、その、泊めてくれるんですか?」 

「そりゃもちろん」 

なんだそんなことかと言わんばかりに 
お姉さんは興味がなさそうに携帯に視線を戻して 

「暇潰し」 

「暇潰し、ですか」 

「うん」 

「そうですか」 

「なんやとおもったん?」 

「……?」 

「お姉さんが君に惚れたとでも思った?」 

「いえ」 

「そこは嘘でも頷いたらいいボケになんねんけど、ってあ、君こっちの子ちゃうんよな」 

「はい」 

「ほんじゃせっかくやねんから関西のボケとツッコミを勉強して帰りや」 

「はあ」 

「そしたら家のことも大概どうでもよくなるわ」 


それは嘘だと流石に思った 



80:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 22:12:12.27 ID:veZIivoe0
コーヒー 
目の前にブラックな飲料が差し出される 

「砂糖は?」 

首を横に振った 
湯気だつコップを持つ 
覚悟を決めて口につける 

うげえ 

「はっはっは! 梅干食っとうみたいなっとうやん!」 

お姉さん爆笑 
俺は俯く 

「無理せんでええて。ミルクと砂糖持って来たるから」 

「うちも自分ぐらいん時コーヒーなんて飲めんかったし」 

その言葉で救われた気がする 
お姉さんも子供の時があったんだな、なんて 
当たり前なんだけど 


「あの」 

「ん?」 

お姉さんは頬杖をついて携帯をいじっていた 
話しかけると綺麗な目を俺に向ける 

まっすぐに向ける 
心が囚われる 

「どないしたん?」 

「あ、えと」 



97:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 22:20:15.93 ID:veZIivoe0
俺自身口下手な方だし 
お姉さんは自分の世界作ってるような人だし 
特に会話は続かなかった 

お姉さんの部屋から流れる音楽 
フィーリング音楽? 
が心地よくて 
時間が過ぎるのを苦もなく感じられた 


「そろそろ寝るわ」 

「はい」 

「明日はうち夜から仕事やから」 

「はい」 

「夜からの仕事、ついてこれるように調節してな」 

「……はい?」 

「やから仕事やって。自分、もしかしてタダで泊めてもらえるおもたん?」 

「いや、そんなことは、ってかその僕、大丈夫なんですか?」 

「平気平気。うちの店やから」 


お姉さんは自分の店も持っていた 
先に言っておくとそれはBARなわけだけど 
やっぱりお姉さんかっけーってなった 


まさかあんな格好させられるとは思わなかったけど 



101:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 22:24:17.44 ID:veZIivoe0
夜から仕事で起きるのが夕方だったから 
俺は結局朝まで起きてた 
それ事態は物置にある本棚に並べられた本を読んでれば問題なかった 

夕方に起きる 
リビングに行くと机の上に弁当があった 
メモで食べるようにと書かれている 
そして五時に起こすようにと書かれている 

お姉さんは寝ていた 

まだ四時すぎだったので先に弁当を食べた 
食べ終わってお姉さんの部屋の扉を開ける 

やけにいい匂いがした 
凄く緊張した 

手に汗がにじむ 

「おねーさーん」 

扉から声をかけるもお姉さんは起きない 
意を決して中に入る 
ベッドの上ですやすやと寝息を立てるお姉さんがいた 

「お姉さん、おきてください」 

お姉さんは起きない 
薄暗い部屋で目を細めてお姉さんの寝顔を覗く 

起きてる時に比べればブサイクだった 
化粧をしてなくてブサイクとかじゃなくて 
枕で顔が潰れててブサイクだった 
でもどこか愛嬌があって 

いうなればぶちゃいくだった 



102:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 22:28:27.20 ID:veZIivoe0
間近で見てると胸が高鳴った 
今ならなにをしてもいいんじゃないか、なんて思い始める 
そんなわけないのに 

そんなわけがないのに手が伸びる 

ゆっくり 
静かに 

鼓動がどんどん大きくなる 
あわや心臓が口から飛び出しそうになる 

やめておけ、と誰かが言うが 
やっちまえ、と誰かが言う 




俺はお姉さんの頭に手を置いた 

見た目より痛んでない髪に手を通す 

撫でる 

「ふにゅ」 

それは形容しがたい寝声だった 
ってか多分これは美化されててふにゅなんだろうけど 
なんだろう 

文字にできない可愛らしい言葉ってあるだろ? 
お姉さんはそんな声を出した 


優しく 
愛でるように撫でた 

お姉さん、可愛いな 

とか思いながら撫でた 


だから気づかなかった 
お姉さん、もうとっくに起きていた 



109:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 22:32:02.62 ID:veZIivoe0
「なにしてんの?」 

怒っている風ではなく 
優しい寝起きのぼやけた声色だった 

「す、すみませんっ」 

逃げ出そうとした 

「ええよ」 

「撫でててええよ。気持ちいいから」 

了解を得たので再び座り込んでお姉さんの頭を撫でる 

「うん、君撫でるの上手いな」 

「今日はうちが寝る時撫でててもらおかな」 

「はい」 

十五分くらいか 
お姉さんの頭を撫で続けた 

お姉さんは心地よさそうにしていた 
俺もなんだかとても心地よかった 

「さて、支度しよか」 

それの終わりがきたのはやっぱり少しだけ残念だった 



119:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 22:35:50.22 ID:veZIivoe0
「……なにしてるんですか?」 

「ちょ、動かんといて」 

「いやほんと、なにしてるんですか?」 

「やから動かんといて」 

「……はい」 

俺は化粧をされていた 

「んー、まあこんなもんか」 

「なんで化粧されたんでしょう」 

「化粧するとな、年齢がわからんくなるんよ」 

「ほら、それに君うっすい顔してるし。めっちゃ化粧映えするわー」 

「はあ」 

「んで、そやなーふふふーん」 

「楽しそうですね」 

「あんまないからなーこんな機会」 

「あ、これでええな」 

「……冗談ですよね」 

「冗談なわけないやん。その顔で男もんの服着る気?」 

「その顔ってか俺は男です」 

「どこがあ。鏡みてみ?」 

そこにはとても可愛らしい女の子がいました 
なんて流石に言いすぎだが 

確かに女の子がいた 

化粧こええ 

「君若いし、女装すんなら今のうちやって」 

「……」 

俺はいろいろと諦めた 



123:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 22:39:05.53 ID:veZIivoe0
可愛らしい化粧をされて 
可愛らしいスカートはかされて 
可愛らしい服を着せられて 
タイツもはかされて 
俺なにやってんだろう 

もちろんヅラも被されて 


お姉さんの店はあの都会の駅だ 
電車にも乗った 

派手な二人組だった 

「お姉さん、流石にこれは」 

「喋らんかったらバレんから大丈夫やって」 

俺は喋れなくなった 


BARにつく 
普通のBARだった 
普通の、といってもなにが普通かわからんが 
イメージ通りのBARだった 

要はちょっと暗くてお洒落 

小さな店だった 

カウンターが七席にテーブルが一席 

「なにしたらいいですか?」 

「とりあえずトイレ掃除から。あ、上着は脱いでな」 

ってなわけで俺は店の掃除を始めた 



127:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 22:45:42.72 ID:veZIivoe0
トイレ掃除 
床の掃き掃除 
テーブル拭き掃除 
グラス磨き 

「お客さんが来たらこれ二つずつ乗っけて出すんよ」 

とそれはチョコとかのお菓子 

「あとはそやな。これが~」 

冷蔵庫の中のメニューを三つ教えてもらう 
(お皿に盛り付けて出すだけ) 

「んでお客さんが帰ったらグラス回収やらしてテーブル拭いてな」 

「は、はい」 

「今日はそんな客多くないから緊張せずに慌てずに、やで」 

「頑張ります」 

「まあ自分の一番の役目はそんなんとちゃうけど」 

お姉さんが悪い笑みを浮かべた気がした 
その意味は後に知ることとなる 


開店から三十分、二人組の女性が来る 

「おねーさんこんちゃーってなにこのこ! ちょーかわいいやん!」 
「おねーさんどこで誘拐してきたん!?」 

「誘拐なんかせんでもほいほいついてきまうんよね」 

「あかんで、あのお姉さんについていったら食われてまうでー」 

「いや、あの、そんな……これ、どうぞ」 
言われてた通りお菓子を出す。 
女性二人は目を丸くしていた 

「……男の子やん! うわあうわあうわあああああ!」 

二人の女性のテンションが上がる。 



131:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 22:49:58.71 ID:veZIivoe0
その後は落ち着いた女性客とお姉さんやらが話して 
その日は計七組のお客さんが来た 

入れ替わりがあったから満員にはならなかったけど 


「はい、お疲れ」 

お姉さんがジュースを出してくれる 
なんだかんだで疲れた 
主に精神的に 

「いやー大盛況やったね、君」 

「……はあ」 

俺はようするにマスコットキャラクター代わりだった。 
来る客来る客珍しいものを見る風に 
ってか本当に珍しいんだろうけど 
わいのわいのと騒ぐ 

「あの」 

「ん?」 

「真っ青な髪の男性客の人、今度ホテル行こうとか言ってましたけど、冗談ですよね」 

「ああ、あれな」 

「ほんまにホテル付いてってくれたらラッキーってなぐらいちゃう?」 

世間は広い 
俺は色んな意味でそう思った 



133:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 22:53:19.86 ID:veZIivoe0
閉店作業をして家に帰る 
もう朝だ 

家に着くなりお姉さんはお風呂に直行した 

「一緒に入るか?」 

とか言われたけど盛大に断った 
恥ずかしくて無理 

お風呂から出てきたお姉さんは凄くラフだった 

どっからどう見てもノーブラで 
薄いパジャマを着ていた 
前のボタンを途中までしか締めてなくて 
胸元が思いっきり露出している 

「熱いわー」 

思いっきり乳首がががががががが 

目を逸した 

「ああ、そや、化粧落としたるわなー」 

この間、服もどうすればいいのかわからないので 
俺はずっと女の子である 



142:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 22:59:34.05 ID:veZIivoe0
化粧を落とすためにお姉さんは凄く近くに寄ってきた 
勘弁してください 

「玉の肌が傷んでまうからなー」 

優しく化粧を落とすお姉さん 
乳首が見せそうで見えない角度 

胸の横っかわはずっと見えてて 
俺はそれに釘付けだった 

息子も釘付けだった 

「よし、顔洗ってき。そのまま風呂入ってき」 

「はい」 

急いで俺は浴室に直行した 
もう性欲が限界だ 

やばい、本当にやばい 

そりゃしたさ 
うん、そりゃするさ 
だってガキだもん 猿だもん 

そんなわけですっきりした俺は風呂から出て 
またお姉さん下着パジャマに身を包む 

コンビニ弁当を食べて 
またコーヒーを頼んだ 

「飲めんやろ?」 

「飲めます」 

「はいはい」 

出されたコーヒーにやっぱり梅干の顔をした 

「はははっ、懲りんなあ」 

暫く時間が流れて 

「はあ、そろそろ寝よか」 

「おやすみなさい」 

「なに言うとん。一緒に寝るんやろ?」 

目が点になった 



148:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 23:03:43.62 ID:veZIivoe0
なにを言ってるんだろうと思った 
そんな約束はしていない 

「なに驚いとん。髪撫でてくれるって言うたやん」 

あれってそういう意味だったのか 

「丹精込めて撫でてやー」 

丹精込めて撫でるってなんだろう 

「ほら、寝るで。明日も仕事やねんし」 

小さく頷く 


お姉さんの部屋に入る 
あの落ち着くBGMが流れてた 

「奥はうちやから」 

「はあ」 

ベッドに誘われて入り込む 
お姉さんの匂いがした 
もうそれだけで眠れそうだった 

「はい」 

「?」 

「ぼうっとしとらんで、ほら」 

「あ、はい」 

お姉さんの髪を撫でる 
俺よりもずっと身長の高いお姉さんの髪 
綺麗な髪 
赤い髪 

撫でる度にいい匂いがする 



152:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 23:07:06.29 ID:veZIivoe0
「なあ」 

「はい」 

「彼女おるん?」 

「いや、いないです」 

「の割に髪撫でるの上手いな」 

「多分、犬飼ってたから」 

「犬? 犬とおんなじか」 

「すみません」 

「それも悪くないかなあ」 

「はあ」 

「だって撫でてくれるんやろ?」 

別にお姉さんだったら犬でも猫でもワニでも蛇でも撫でる 

「なら犬も悪ないな」 

「お姉さんは」 

「ん?」 

「お姉さんは、その、彼氏、とか」 

「おらんよ。おったら流石に連れ込まんわ」 

「ですよね、はは」 

嬉しかった 

「でも、好きな人はおるかな」 

言葉が詰まる 
息が苦しくなった 

そのお陰で 

「そうですか」 

と噛まずに言えた 



160:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 23:11:15.50 ID:veZIivoe0
なんでだろう 
凄く夢見た光景なのに 
男の夢って具合なのに 

なぜだか辛かった 
きっとお姉さんに好きな人がいると聞いたからだ 

理由はわかってた 

胸は苦しい 
なのに心地いい 

お姉さんを独り占めしている気がした 
お姉さんの好きな人にだってこんなことはできないだろうと思った 

けど俺はお姉さんの好きな人には成り代われない 

結局、お姉さんはその内に眠っていた 

泣きそうだったけど 
俺もなんとか眠ることができた 


起きると横にお姉さんがいた 
頭を撫でて、起きてくださいと言う 

お姉さんは寝返りをうって抱きついてくる 
心臓が一気に跳ね上がる 

もうずっとそのままでいたい 


でもお姉さんはその内に目を覚ました 
抱きついていることに気づくと、より深く顔を埋めた 


「ごめんな、ありがとう」 


お姉さんの言葉の意味がわからなかったけど 
とりあえずお姉さんが喜んでくれるならと 
俺はお姉さんの頭を撫でた 



167:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 23:17:14.81 ID:veZIivoe0
店について開店作業 
とりたてて難しいことがあるわけじゃないので忘れてはいない 

その日も疎らにお客さんが入っていた 

何組目のお客だったか 
中盤ぐらいでその人はきた 

「よお」 

やけにいかつい顔の人だった 
ってかヤクザだと思った 

「なんやねん」 

少なくともお姉さんはその人を嫌っているようだった 

「この前の借り、返してもらいに来た」 

「自分が勝手にやったんやろ」 

「でも助かったろ?」 

席に座ったのでいらっしゃいませと通しを出す 

「おお、この前のガキンチョか? 随分変わったなあ」 

「?」 

「なんだ覚えてねえのか。助けてやったろ?」 

なにを言ってるのかさっぱりわからなかったのでお姉さんを見やる。 

「不良に絡まれとった時、こいつが追い払ってん」 

なるほど、それであの三人は逃げたのか。 
そりゃこんな顔に睨まれたら逃げたくもなる。 

「ありがとうございました」 

「気にすんな。お陰でこいつにいいことしてもらえるからな」 

「誰がするか」 

「本気だ」 



179:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 23:22:53.30 ID:veZIivoe0
ガキでも解る三段論法 

俺を助けるお姉さんを助ける強面 
↓ 
それをネタにお姉さんを脅迫 
↓ 
原因は俺 

「あの」 

「ん? どうした、坊主」 

「……困ります」 

「……あ?」 

「そういうの、困ります」 

「おいガキ」 

強面が俺の胸ぐらを掴んで引っ張り上げる 
なんでこんなこと言ってるんだろう俺はと後悔した 

「おいオッサン、その手離さんとキレるで?」 

お姉さんがドスの低い声で強面に言う 
でもそれもこれも嫌だった 

俺が子供だからこうなったんだ 

「あの」 

強面がこっちを向く 
それに合わせて思いっきり手をぶつけてやった 

平手で 

多分、グーで殴ることが恐かった 
そういう経験がなかったから 
だから平手で殴った 

強面は鼻血を出した 



188:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 23:28:10.93 ID:veZIivoe0
「ガキ……調子に乗りすぎだなあ?」 

強面の恫喝に身が震えた 
殴るなんてことはついやってしまったことに近くて 
それ以上のなにかなんて無理だった 

外に連れ出された俺は 
五六発ぶん殴られた 

こんな痛いことがあるんだと知った 
もう人を殴るのはよそうとか考えてた 

お姉さんが後ろから強面を止める 
強面がお姉さんを振り払うと、壁にぶつかった 

お姉さんが痛そうな声をだした 

なにを考えたわけでもなく強面に突撃する 
なにもできないけど許せなかった 

振り払われて、また殴られて 

「気分悪い、二度と来るか」 

捨て台詞を吐いて、強面は帰った 


お姉さんが中の客を帰して 
意識の曖昧な俺を看病してくれた 

どう看病してくれたかは覚えてないけど 

お姉さんは泣いていたような気がする 

ごめんな、ありがとう 

と言っていた気がする 
でも、俺にはやっぱり意味がわからなかった 

殴られたからか、わからなかった 

お姉さんが泣いているのは見たくなかったから 
泣かないで、と手を伸ばした 

お姉さんの頭を優しく撫でた 



201:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 23:36:01.61 ID:veZIivoe0
気づくとお姉さんの部屋にいた 
いつの間にか気を失った俺はお姉さんに運ばれたらしい 

寝起きだからかぼうっとする 
でもおでこがひんやりと気持ちいい 

「おはよ」 

お姉さんはベッドの横にある勉強机みたいなやつのイスに座ってた 
パソコンを触ってたらしい 

「おはよ、ございます」 

起き上がろうとしたけど体が痛くてうめき声が漏れる 

「あかんて、今日はゆっくりしとき」 

「でも、仕事」 

「なに言うとん。そんな面じゃお客さんびびるし、あの鬱陶しい客が二度と来ん言うてんから、うちとしては充分や。ほんまにありがとう」 

「君はうちの幸運やな」 

「役に立てました?」 

「充分やって。あの客な、前から鬱陶しかってん。ああやって誘ってきてて。でも多分、ほんまに二度とこんやろ。なんせ、十五歳の子供に鼻血出されてもうたからな。メンツが立たんで」 

にやりとお姉さんは笑う。 

「凄いな、自分。恐かったやろ、痛かったやろ」 

強かったけど、痛かったけど 
それどころじゃなかった 
そんなことどうでもいいぐらいに怒っていた 

「別に」 

「かっこつけんなや。でも君」 

「かっこよかったよ」 

嬉しいよりも照れくさい 
俺は布団の中に顔を隠す 


「なんか食べられそうなもん持ってくるわ。口ん中切れとるやろうけど、ゼリーなら食えるやろうから」 



210:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 23:40:31.07 ID:veZIivoe0
ゼリーは確かに食べられたけど 
口の中は切れてて痛かった 
でもまあ 

「はい、あーん」 

「自分で食べますよ」 

「ええから」 

「いや」 

「はよ口開けろや」 

「はい」 

お姉さんが食べさせてくれたからなんでも食べれた 
お姉さんが食べさせてくれるなら納豆でも食べれそうだった 
納豆嫌い 


「なんか欲しいもんある?」 

「欲しいもの?」 

「漫画でも食べ物でも用意するから。高いもんは勘弁してほしいけどな」 

「じゃあ」 

俺はこの時も知らなかったけど 
殴られすぎると熱がでるらしい 
だから思考があやふやになって 
突拍子もないことを言ってしまうようだった 

「お姉さん」 

言ってから後悔した 
なんてことを言うんだ俺は、って 


「な、なんでもないです」 


「うちは奥やからな」 


お姉さんがベッドに潜り込んでくる 



229:>>209 タクシー:2013/03/19(火) 23:46:44.69 ID:veZIivoe0
一緒に眠った経験もあるわけだけど 
その時とは雰囲気が違って 
俺は借りてこられた猫のように固まった 

「こんな」 

お姉さんの手が頭に触れる 
いつも俺がそうするように 
優しく髪を撫ではじめる 

「こんなぼろぼろになってもうてな」 

「ごめんな」 

別にぼろぼろになるのもぼこぼこになるのも 
お姉さんを守れたならそれでよかった 

お姉さんが喜んでくれてるし 
ちょっとでも役に立てたみたいだし 


お姉さんが頭を撫でる 
それはとても心地いい 

「ほんで」 

「どないしてほしいん?」 


それに答えられるわけもなく 
恥ずかしくなって顔を反対側へ背けた 


「なんてな、はは」 

「それはちょっと卑怯やな」 

お姉さんの手が首の下に移動する 
それこそ犬猫のようにそっと撫でられて 
くすぐったくて体が跳ねた 


「こっち向いて」 

耳元でそっと囁かれた甘い言葉に脳が痺れた 

視界すらぼうっとしている中でお姉さんの方に振り向くと 

唇が唇に触れる 



249:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 23:52:33.28 ID:veZIivoe0
ファーストキスだ 
とか 
思う間もなく 

お姉さんの舌が口の中に入ってくる 
生暖かい別の生き物が 

滑りを立てて侵入する 


動く度にそれは音を発して 
俺とお姉さんがつながっていることを証明した 


舌と舌が絡んで 
お姉さんの舌が口の中の全てを這う 


横も 
舌の裏も 
上も 
歯も 


口の切れた痛みも忘れて 
ただ侵されることに集中した 


これ以上ない幸福が詰まっているような気がした 


お姉さんの手が俺の右手に触れて 
指先ですっとなぞる 


それは手から全身に電流を流して 
意識が更に拡散していく 

手を握られる 
俺も握り返す 

お姉さんが手をどこかに連れていく 


そこで離される 

合図だと思ったから手を滑らせる 

初めて触る、女性の胸 



264:名も無き被検体774号+:2013/03/19(火) 23:57:42.22 ID:veZIivoe0
舌がすっと引いていって 
お姉さんが視線を合わせる 

「ええよ?」 

小さな吐息に混ざった声で 
俺の消し飛んでいたと思われる理性が外れた 

胸 

柔らかな、胸 


手の平いっぱいに感触を確かめるため 
ゆっくりと揉んだ 


手の中心部分にお姉さんの突起があって 
それは揉むとかイジるとかよりも 
舐めたり吸ったりしたい気分が勝る 


でも、揉む 

だって揉むとお姉さんが 

声を殺して息を吐く 


「ん」 


それを俺が見つめていると 
恥ずかしそうに視線を逸した 

「見んといてや、年下に感じさせられるんなんて恥ずいわ」 

胸の内で想いが強まる 
何度も何度も 
お姉さん 
って呟いた 

胸の内で 
想いが深くなって 


俺の方からお姉さんにキスをした 



275:名も無き被検体774号+:2013/03/20(水) 00:02:48.55 ID:x60gR+VC0
とても綺麗で 
とてもかっこいいお姉さん 


そのお姉さんが俺にキスをされて小さな声をあげる 

とても愛らしくて 
とても可愛いお姉さん 


胸を弄られながらキスをされて 
だんだんと体温が上がっている気がした 

でも、どうしたらいいんだろう 
俺はまだ経験がない 

エロ本の知識しかない 
それは基本的に間違っているとみんな言う 
だから下手なことはできない 



突然だった 
突然股間に衝撃が走った 

お姉さんが握ってきたのだ 
生で 


「年下にやられっぱなしは性に合わんわ」 

俺が覆いかぶさっていた体勢をぐるりと回して 
お姉さんが俺を覆う 

布団はずれてはだけたお姉さんの服 
綺麗な胸があらわになっていた 


「なあ、気持ちいい?」 


お姉さんの細長い指が俺のを握って 
微かに上下へと動き始めた 



288:名も無き被検体774号+:2013/03/20(水) 00:08:52.96 ID:x60gR+VC0
気持ちいいに決まってる 
けど気持ちいいなんて言えるはずがない 

俺はどういう対応をしていたのだろう 

気持ちいいけど恥ずかしくて 
その顔を見られるのが嫌で背けてたのかもしれない 

ちらりと横目でお姉さんを見ると 
うっすらと笑みを浮かべて 
楽しそうに俺を眺めていた 


「なあ」 

耳元で囁かれる声 
俺はそれに弱いのか脳がくらくらと泳ぎだす 

「気持ちいいやろ?」 

問われて、答えられるはずがないのに 
つい口を出てしまいそうになった 

お姉さんは変わらず手を動かしていて 
でもそこに痛みはなく 
ただただ気持ちいい 


「言わんとやめるで?」 


その言葉を聞いて凄く胸が苦しくなった 
やめないでほしい 
ずっと続けてほしいくらいだ 


やめないでください 

息も絶え絶えに発する 

「なんかいった?」 

お姉さんの手が止まる 


「やめないで、ください!」 


ええこやな、とお姉さんはつぶやいて。 

俺の首筋をすっと舐める。 

その右手はまた動き始めて 
上下だけではなく 
先端を凝らしてみたり 
付け根を押してみたり 
さっと指先でなぞってみたり 



301:名も無き被検体774号+:2013/03/20(水) 00:15:06.11 ID:x60gR+VC0
性的な快楽以外のものを感じていたような気がした 

「ぬるぬるしたのでとんで」 

お姉さんの言葉に耳が犯されることは 

「かわいいなあ、君は」 

本来なら性行為の補助であるはずなのに 

「ここ、こんなんにして、気持ちいいんやろ?」 

それが快楽の全てである気がした 


「気持ちいです」 

「もっとしてほしい?」 

「もっとしてほしいです」 

「もっと気持ちよくなりたいん?」 

「なりたいです」 

「お願いは?」 

「お願いします」 

「足らんなあ」 

「お願いします!」 

「どれをどないにしてほしいん?」 

「僕のを、お姉さんの中に、お願いします」 

「……なんかいうた?」 

「僕のを! お姉さんの中に! お願いします!」 


「ええこやな」 


お姉さんの声が遠ざかっていく 
どこに行ってしまうんだろうと不安になって目で追うと 
お姉さんは 

俺のそれを口の中に収める 



323:名も無き被検体774号+:2013/03/20(水) 00:23:57.46 ID:x60gR+VC0
じゅるり 
と奇妙な音を立てながら 
ぐじゅぐじゅ 
といやらしい音を立てながら 

「だ、だめ」 

「ん? どないしたん?」 

「イキそう、です」 

「ええよ」 

俺が嫌だった 
現時点で既に人生の幸運を全て使ってしまったような状況だけど 
でも、一番の目的がまだだったから 

「い、嫌だ」 

「ほら、だしや」 

お姉さんの涎に塗れたモノを手で上下に動かしつつ先を舌先で舐めながら 
お姉さんは俺を嬉しそうに見詰めた 

「嫌だ、でちゃい、ます」 

言ってもお姉さんはやめてくれない。 
嫌だと言いながらも俺は激しく抵抗しない、できない。 

「お願い、お姉さん、やめて」 

お姉さんはじいっと俺を眺める 
俺をじいっと観察する 


声を殺して息が漏れた 
下腹部に集まった大量の性欲が 
意思と無関係に発射される 

体の中心が割られたような衝撃だった 
一人じゃ味わえない快感だった 


お姉さんは俺の液体から顔を背けずにいた 
快楽の余韻に浸りながらお姉さんを見ると俺の精液でどろどろになっていた 

「いっぱいでたな」 

言うと、お姉さんは再び性器に口をつけ 
舐め取るように、吸い上げるように綺麗にしていった 

それは気持ちよさよりもくすぐったさの方が上だったけど 
なによりも心が満たされていった 


「ほな、お風呂はいろか」 



339:名も無き被検体774号+:2013/03/20(水) 00:32:30.33 ID:x60gR+VC0
「先入っとって。すぐ入るから」 

言われて、シャワーを浴びる。 
湯船のお湯はまだ半分ぐらいしか溜まっていない。 


シャンプーで頭を洗っていると電気が消える。 

「入るでー」 

速攻で足を閉じてちむぽを隠した。 

「さっきあんなんしたんに見られるの恥ずかしいん?」 

けたけたと笑うお姉さん。 

「髪洗ったるよ。手どかし」 

言われるがままに手をどかし 
お姉さんにシャンプーをお願いした。 


内心未だにどきどきしっぱなしだったけど 
それ以上に俺は後悔していた 


だって、もうできるチャンスはないだろうから 

お姉さんとできるチャンスを俺の逃したのだ 

「流すでー」 

人に頭を洗ってもらうのは気持ちいい 
流されて、溜まった湯船に二人して使った 


「どやった?」 

「なにがですか?」 

「言わんでもわかるやろ」 

「お姉さんってSですよね」 

「君はMやろ?」 

「みたいですね」 

ごぼがぼごぼ 
お湯に隠れたいけどそうもいかない 

家出したらお姉さんに拾われた【ファイナル】